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『虚人たち』筒井康隆

小説と意識して文章を書き始めた高校生のころは、SFファンだった。そして筒井は神様だった。書店の文庫本を端から読みつくし、高校生の癖に、まだ文庫になっていなかったハードカバーまで読み漁った。この小説に出会ったときは、嘘ではなく、独り、「そうだよね。小説って、こんなことをしてもいいんだよね」と声を出していた。
とにかく、筒井は、あらゆる文体実験を、遊び心で演じていた。そのさまは、日本のレーモン・ルーセルだ、とあえて言ってしまおう。
この頃の筒井はまさか自分が文学賞、まして芥川賞の選考委員になるなんて思いもしなかったろう。今の筒井は、芥川賞が悪いのか、『虚航船団』をこき下ろした評論家たちが悪いのか、それとも筒井の問題なのか、とにかく詰まらない。

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