「木曜日」24号評6
なんと、今になって、「星と泉」新創刊特大号が、ようやく届いた。
飛脚メール便って、ひどいね。
さて、この雑誌は投稿誌だが、「同人雑誌評」があり、「木曜日」24号を送っていた。そして、取り上げられていたので、いつもどおり、該当箇所のみ、転記しよう。その内容には、言いたいこともなくはないが、あえて触れない。送られた同人誌は12誌と、少なかったことだし、ここを見た同人誌の関係者の方々が、今後の参考にしてくださればよいだろう。
なお、弊誌のほかにも、「胡壷・KOKO」「零文学」「文芸誌O」「季刊 遠近」と、「文芸同人誌案内」などをつうじて親しくさせていただいている同人誌の方々の作品も取り上げられていた。
評者は、木井昭一氏。
よこい隆「冬女夏草」(『木曜日』№24、東京都豊島区・日本ジャーナリストセンター上野ゼミ)には、うたれた。二人称がひめる文体が、十二分にいかされた出色の作。
実は私はそのストーリーはよく把握できていない。だが、めりはりのある、尋常ならざる筆致には堪能させてもらった。始めの方での《赤、いや淡いピンクのドレスを着ている。違う。ドレスの上にはコートを……》の所、二文字からなるセンテンス《違う。》の置き方などは、一種強引に胸にせまったものだ。そして、二人称に対して自分が従来いだいていた期待が、いかに漠然としていて底があさかったかを思いしらされた。その文体は《街路樹の銀杏》ですら《おまえ》と錯覚してしまうほどの力、瞠目すべき訴求力をもっている。膠着語以外の言語に訳されたら、もっと迫力のある文体として現前するのではないか。
些事だが一つ提案させてもらいたい。「?」を少なくしてダッシュ( )を適宜つかうことである たとえば真ん中辺りの《いよいよ交渉にはいるとき》ではじまる段落では、ダッシュを使用することにより効果的になるだろう。ついでながら、冒頭の文は二つにわけた方がいいのではないだろうか。個人的な希望も書きつけておこう。それは、よこい氏の叙事詩執筆である、無論二人称の。
〈よしなしごと・1〉
I氏の随筆「小説は書かなくってもよい」(前出『木曜日』)には、何とはなしに違和感をおぼえた。《長文に拘》る氏の姿勢を考慮しても、私としては少々引っかかった。初回なので、小生の創作観の一端を提示するつもりで、その引っ掛かりについてあえて踏みこんだ卑見を呈しておきたい。
I氏は、まずは淡々と述べる、《私は物語を作りたいのではなく、自分の思った事を表したいだけなのではなかろうか》。《日常の生活の中で起こる》ことなどをつづっていき、《そこに自分の思いや感じた事を挿入していく。それだけでいいのではなかろうか、と。》 よくないと拒む人は、いないだろう。しかし、ついでに《派手さはなくてもいい。自分の負の部分を怖がらずに出してみる。〔改行〕別に短くてもいい。人と張り合う必要はないのだ。》とのこと。問題は、ここら辺だ。
独白ないし自分に言いきかせていた感じから、次第に一般的な教訓調になっている、と私にはよめたのである。そして内容が内容だけに、そうした調子は妙に説得力があり、そこのところは自分としては敬遠したいと思った。血わき肉おどる小説・物語をかくことはあまり念頭にない人たちにとって、格好の安心材料となってしまう、それはいかがなものかと。取りわけ《負の部分》云々には、面白さとはほとんど縁のない私小説を奨励しかねないと私は受けとってしまった。かたよった読みをしているという非難は承知のうえだ。
これをことさらに説明するより、たとえばこういってみよう 「派手さもあっていい。自分のほこりたいことを大いにだしてみるのも、一興。別に、ながくても結構。人と張りあってみるのも、わるくはない」。あるいは強引に、こうしるしてみたい、「SFや時代小説など、かける人はどしどしチャレンジすればいい。官能小説も歓迎。長短については短編どころか、《日常の生活》での感懐や小事を断章形式でしたためるのも趣があろう。また《負》であれ本音であれ、要はよませる筆致で、《盛り上が》るものを」。
《違う》 我われに普通の日常なぞ、ない。あるのは沃野なす日び、月並みであっても不意に《木枯らしを巻き添えに》するほどの荒寥さにおそわれかねない生活ではないか。それを《面白くない》よう叙述する人たちがいるだけである。
とまれ、氏には阿刀田高の短編小説に関するエッセイ集をお薦めしたい。もしかして、その《呪縛》もとけるのでは。
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コメント
親切なアドバイスつきですか。
投稿: H.F. | 2008/10/12 22:16
ご指導なさるからにはたいした御仁なのでしょうね
よくぞんじませんが
投稿: あや | 2008/10/12 23:23
H.F.さん、こんにちは。
まったく、添削までしてもらえるとは思いませんでした。
私もさんざん不遜なことをここで書いているので、私が思ったことは、くわしく書かずにおきます。
あやさん、はじめまして。と言っても、あのお方かな、と想像はしておりますが。
井木氏は、「同人誌評」の前段で、こうに述べておられます。
投稿: Lydwine. | 2008/10/13 02:23